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今聴いているのはアン・サリーの『こころうた』('07 Videoarts)。
まずはこのアルバムについて、彼女のブログから引用しますね。
去年一年、ライブで日本各地をぐるりと回り、リスナーの皆さんをたくさん身近に感じられる幸せな時間を持ちました。その時に肌で感じたのは、日本で歌をうたうには、日本語が一番伝わりやすい、ということでした。徐々にアルバム収録曲の中に日本語が増えてきたのはそういう理由です。自作の曲がたくさん含まれているのは、ライブでカバー曲を歌っているうちに、だんだん自分に似合う服は自分で縫うが一番、というような気持ちになってきたからです。子供が寝静まった夜にむっくりと起き上がり、密やかに作りましたが、これまでいろんな音楽を聴いてきて、歌をうたってきて、頭の中のメロディーが飽和状態になってきたように感じていた時だったので、曲は自分でもびっくりするくらいにすらすらと出来上がりました。
今回の『こころうた』を聴いてみて、
前作の『Brand-new Orleans』に感じた違和感の正体がわかったのです。
前作はタイトル通り、ニュー・オーリンズ・ジャズ色が強くて、
そんなに聞き込むことがないままに、CDラックに眠ったままになってしまったものです。
彼女が「自分に似合う服は自分で縫うが一番」と言っているように、
13曲中6曲が彼女自身の手によるもの。
今までのアルバムのカバー曲のセンスも大好きでしたが(原曲のセレクトを作ったくらい)、
今回は彼女のオリジナル曲がとてもいいんですよね。
しかも、日本語で歌われているから、ストレートに心に届いてくるし。
やわらかなそのくせ、サラッとした綿にくるまれているような安心感を与えてくれる「うた」ばかりです。
NHKのみんなのうたで放映されていた「のびろのびろだいすきな木」はやわらかなワルツ。
スティールパンが涼しげな「はなのような人」はシンプルな歌詞がかえって心を打つうた。
ブラジル風のギターをバックに歌われる「そよかぜ」は、あっという間に終わる心地よい小品。
幼い娘をおぶって歌っているような童謡の「手と手」。
ハングルで歌われる「遠い日の子守歌」は、三世である彼女のルーツを感じさせる力強い子守歌。
「ナミノカナタ」は、笹子重治のギターに乗せてゆったりと歌われるハチロクのバラード。
カバー曲としては、ミルトン・ナシメントの「トラヴェシア」を採りあげていることが目玉でしょうね。
リリースとほぼ同時期に二人目の娘を出産した彼女。
母としての温かさを感じさせてくれるアルバムです。
- アーティスト: アン・サリー
- 出版社/メーカー: VIDEOARTS MUSIC( C)(M)
- 発売日: 2007/07/18
- メディア: CD
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