Bye-Bye

P5NEO2005-05-21

今日はバスケネタ。というのも、あのレジー・ミラーがついに引退したのだ。


現在のNBAに名選手はたくさんいるが、このレジー・ミラーはその中でも特別な存在だろう。というのも、'87−'88シーズンにデビューして以来18年間、ミラーはインディアナ・ペイサーズ一筋で選手生命をまっとうしたのだから。

日本のプロ野球を見慣れた目からすると奇異に感じるかもしれないが、NBAではスーパースターといえども1チームだけで選手としての生涯を終える者はきわめて少ない。事情は違うが、あのマイケル・ジョーダンでさえも、シカゴ・ブルズを3度引退した後、ワシントン・ウィザーズで3度目の復帰をしているくらいなのだ。スター選手は少しでも良い契約条件を求めてチームを転々としているし、やや力が劣る選手は頻繁にトレードの材料にされるジャーニー・マン(短期間でチームを渡り歩く選手をこう呼びます)として扱われてしまう。彼らにしてみると、チームや地元ファンへの忠誠心よりも高額の年俸の方が大切なのだ。これは契約金の額にあわせて報酬をもらえる代理人制度の弊害とも言えるだろう(代理人が自分の報酬増のためにチームと激しい駆け引きをする)。


現在のNBA選手で入団してから1チームに落ち着いているのは、アレン・アイバーソン(76ers)、ティム・ダンカン(Spurs)、ケヴィン・ガーネット(Wolves)、コービー・ブライアント(Lakers)・・・・くらい。(ただ、コービーなんかは近い将来に移籍したり、トレードに出される可能性が高い気がする。)


そんな風潮の中で、レジー・ミラーはチームを飛び出るチャンスは数多くあったが、最後までインディアナにとどまった。残念ながらチャンピオン・リングを手にすることは出来なかったけれど、インディアナはもちろんのこと、全米の、世界中のNBAファンの記憶に残る名選手であることは間違いない。

あのジョーダンでさえもおそれないビッグ・マウスぶり。マジソン・スクエア・ガーデンでのスパイク・リーとのやりあい。シカゴ戦だったか、シュートを決めた後、ユナイテッド・センターの観客に向かって大胆不敵な敬礼・・など、名シーンは数知れず。中でも一番記憶に残っているシーンが、95年のカンファレンス・セミファイナルのニックス戦。試合時間残り8秒からスリー・ポイント2本を含む8連続得点の神業を披露し、チームを大逆転勝利に導いた。まさに”ミラー・タイム”。私もTVで見てたけれど、今でもあの試合は脳裏に焼き付いている。


スリー・ポイント・シューターには大きく分けて2種類ある。ブルズの黄金時代に多くのシュートを決めたスティーヴ・カーのような選手は、マイケル・ジョーダンにディフェンスが集中するためにフリーになることが多く、ラインの外側で待っているだけでシュート・チャンスが転がり込んでくる。それに対してミラーはチームのエースだから、おのずとディフェンスは彼を厳しくマークしてくるのだが、ペイサーズは何重ものスクリーンをかけて、ミラーにスリー・ポイント・シュートを打たせるためのセッティングをする。相手チームはミラーにボールを持たせまいと最大限の努力をするのだけど、やっぱり決められてしまうのだ。

18年間、コートの中をかけずり回って決めた3ポイントシュートはNBA歴代最多の2508本。彼こそが”ザ・シューター”だろう。